INTERVIEW

電通沖縄の可能性
代表取締役社長インタビュー

奥田 敏博
TOSHIHIRO OKUDA
1985年電通東京本社入社
新聞局、営業局等を経て、
2020年3月電通沖縄代表取締役社長就任

電通グループの沖縄営業所としてスタートした電通沖縄は、2020年1月に22周年を迎えました。アジアの玄関口として世界と日本をつなぎ、観光地としても大きな可能性を持つ沖縄で、さらなる新しい課題解決に取り組み、沖縄の発展に欠かせない存在でありたいと尽力する電通沖縄。その代表取締役社長・奥田敏博さんに、電通沖縄が目指す未来、そして、ともに未来をつくるために必要な人材について訊きました。

奥田 敏博

INTERVIEW.

人と人をつなげ、考え方をつなげていくことで、沖縄ならではのものを生み出すことができる。

奥田 敏博

- 奥田さんは電通東京本社から、2020年3月に電通沖縄の代表取締役社長に就任されましたが、東京から「沖縄の可能性」をどのように見ていらっしゃいましたか?

奥田 東京本社では地方創生の仕事をしていて、そこで沖縄県を担当していました。他の自治体と比較しても、沖縄はブランド力があるなと思っていましたね。沖縄はいろいろな魅力を持つ県だと思いますし、たとえば沖縄県が実施している「Be.Okinawa」にしても、県としてのブランドをつくっていく、とてもいいキャンペーンだと思っています。
“モノ”って、そこにあるだけだとただの“モノ”でしかないですが、それをいつ誰にどう見せてあげるかによって、その魅力が浮かび上がるんですよね。地域(エリア)もそうで、どう見せてあげるかで人は動いたり、関心を持ったりする。イメージが想起できないと人は動きません。沖縄の場合は、早くから観光に取り組まれていることもあって、それがうまくいってきたんだと思うし、もっともっと磨けば、さらに輝くと思います。それは、「Be.Okinawa」という言葉で広げる方法もあるでしょうし、違う形で沖縄のブランドをつくっていくこともできるとも思います。どのターゲットにどういうイメージを想起させるのか、そういうことを考えていくと、沖縄の可能性は無限大にあると感じています。

- 沖縄において、「電通沖縄」はどのような役割を果たしていきたいとお考えですか。

奥田 電通沖縄は沖縄にある、つまり「ここにある意味」があると思っています。この沖縄にあるからこそ、ここで一緒に考えていける、明日の沖縄のためにどう役に立てるのか、沖縄にとって欠かせない存在でありたいと思うんです。
電通グループというのは、現在、全世界で6万人を超えるグループで、その中には数えきれないくらい会社があって、それぞれ専門性を持った人間がいます。たとえば沖縄で何か課題が生まれた時、そのネットワークを活かせば、その課題に対して解決方法が見つかります。そこでのノウハウを共有するだけでも様々な事例があり、解決策を提供することができる。僕らは、「沖縄にあること」によって、沖縄とそのネットワークをつなぐ役目になることが大事だと思うんです。電通はコミュニケーションの会社なので「つなげていく」ということが大事だと思うし、人と人をつなげていったり、考え方をつなげていったり、そういうことで新しいもの、沖縄ならではのものを生み出すことができると思っています。
でも、だからこそ、「僕らは沖縄のことをどこまでちゃんと知っているのだろうか」ということを、つねに自分たちに問い続けなくてはいけないと思うんです。それがなければ、ここではどういうコミュニケーションをするといいのか、また、逆に、沖縄のものを他に売る時に、東京や海外ではどう言ったら売れるのか、と、提案することができません。こういう見え方をした方がいいんじゃないか、と、僕ら自身、勉強・進化していくことで、新しいコミュニケーションが出てくると思うんです。
沖縄のためにならないことを電通沖縄がやっても意味がないんですよね。役に立つために、電通沖縄が存在する意味がある。そのことを仕事の意義を語る真ん中に持ってほしいなと思っています。それは沖縄経済がよくなっていったりとか、県民の暮らしや意識が豊かになっていったりとか、そういうことも含めて、沖縄のためになっていきたいと思います。

INTERVIEW.

新しいことに対してどう対応していくか、
新しいコミュニケーションをどうつくっていくか。

奥田 敏博

- いま、新型コロナウイルスによって、沖縄の経済活動、特に観光は大きな影響を受けています。これから、これまでになかった新しい課題が出てくると思いますが、それについてはどのようなお考えをお持ちですか?

奥田 観光に限らず、新型コロナウイルスによって、今後、いろいろなことが変わる気がするんです。生活の仕方も変わるし、観光という考え方も変わる。たとえば、これからは日常と非日常が一緒になっていく可能性があると思っていて、いままでは休暇は休暇、仕事は仕事だったのが、リモートで仕事をするようになると、沖縄に一ヶ月いて、半分仕事して半分休暇でもいいわけです。もしくは1日半分仕事して半分休暇でもいい。また、移動距離への感覚も変わってくるだろうし、三密を避けるため、いままでは都市型だったり一カ所に集中していたものが分散していくことにもなるでしょう。そうなるとイベントも人をたくさん集めて盛り上げていくやり方ではない、まったく違う発想で組み立てていかないと難しいと思います。
こうしてどんどん変わっていく中で、僕らがやるべきことは、新しいことに対してどう対応していくか、どう一緒に考えていくか、つまり、新しいコミュニケーションをどうつくっていくかということになってくると思います。
そこで、イベントはこんなやり方があるんじゃないか、とか、スポーツ競技とかでもこういう見せ方があるんじゃないか、その時に広告をどう組み込んでいくか、とか、休暇のとり方でも沖縄だったらこういうサービスができるとか、離島だったらこういうことができるとか、逆に、移動しなくても、家にいて沖縄を楽しんでもらえる方法があるかとか、全然違う発想ができるんじゃないかと思うんです。
ただ、その時に「沖縄ならでは、とは何なのか」ということにあらためて立ち戻っていくんですね。「今日、沖縄料理の日にしたいよね」と思わせる想起力とか、それくらいの想いや関係性をどうつくっていけるのか。そういう発想力をもって仕掛けてみると、いろいろつながって、形ができていくように思いますね。アイデアや提案だけでもどんどん可能性は広がるし、僕らもそのお手伝いをしながらやっていくと、沖縄のために貢献できるだろうと思っています。

- そういう時代の変化の中にあって、これから電通沖縄が必要とする人材はどんな人でしょうか。

奥田 まず、考えることを楽しむことができる人、ですね。いままでのやり方でいいよね、でなく、全然違うこんな楽しみ方があるんじゃないの? とポジティブな発想ができる能力と言ったらいいかな。そうやって新しいことを考えることを楽しむことができると、きっと楽しい会社環境にもなると思うし、それが沖縄のために、みんなのためになるんだと思うんですよね。 僕らの仕事は、クライアントがいるわけですが、クライアントが考えている以上に考えていないと、絶対にクライアントから求められないと思うんですね。
ここ数年、電通グループは働き方改革を推進しています。電通沖縄は若い社員、女性の社員も多いので、仕事と家庭の両立を含めて働きやすい環境をしっかりとつくっていかないといい仕事もできないと思うんです。そういう環境づくりもしっかりやりながら、理想的な会社を目指していきたいです。

奥田 敏博

INTERVIEW.

自分たちがプロフェッショナルだと、
胸を張って言えるよう、
ベストを尽くす。

奥田 敏博

- 電通沖縄が掲げるスローガンに「Think」「Link」「Change」という言葉があります。さきほどのお話につながるかと思いますが、奥田さんが考える「Think」の大切さを教えてください。

奥田 「Think」は、考えることを諦めないこと、考えることを楽しむこと。コミュニケーションの中で大事なのは「発見すること」だと思うんです。気づきというか、「これだよね」ということを見つける能力。それは考える以外のことからは生まれません。考えているからこそ気づくのだし、「Think」するためにはいろんなインプットをしないといけないんですよね。いろんなことに興味を持たないと「Think」はできないでしょうし、そういう意味で「Think」は基本の中の基本だと思います。

- 続く「Link」は?

「Link」は、電通自体がコミュニケーションの会社なので、さきほどグループ会社6万人の話もしましたけど、そのネットワークを活かさない手はないと思っています。そしてそれをどう活用するかは絶えず考えていきたいと思います。いま、電通沖縄には40人近くの社員がいますが、ひとりひとりがそれぞれ持っているネットワークもありますし、もっと言えば、電通グループだけで6万人、その先にメディアの方々がいたり、外部の様々な協力会社やネットワークを持っている人たちがいます。それらのつながり「Linkしていくこと」を意識して仕事しないともったいないと思いますね。
最後の「Change」は、変わっていくことを楽しむということです。世の中のスピードは早いので、少し前に流行ったことがもう違うものに変わっているかもしれないし、いまは映像って画面で見ていますけれど、「昔って画面で見てたんだ」という時代が来るかもしれない。旅行のスタイルもまったく変わってくるだろうし、そうするとコミュニケーションも変わります。その変化に柔軟に対応し、新しいものもどんどん取り組んでいきながら、新しく見つけていくことが大事だろうと思うんです。変わっていくことを恐れないこと、それを楽しむこと、ですね。
そしてその3つのスローガンには「未来の沖縄のために。」という言葉がついています。僕はどちらかというとその言葉の方を大事にしたいと思うんです。「Think」「Link」「Change」、それらをなぜするのか、という時に、「未来の沖縄のために」、自分たちがちゃんと考えていったり、ちゃんと人とつながっていったり、ちゃんと変わっていったりする。そのことこそが大事だと思っています。

- 奥田さんが仕事をしていく上で大切にしていることを教えてください。

奥田 自分にできるベストを尽くすこと。僕はイチローではないので4000本もヒットを打てないし、100メートルを9秒台では走れません。でも、自分ができることって絶対あって、そこは精一杯努力したい。そして、そうやってベストを尽くすことで、自分ひとりの限界も知るからこそ、他の人たちと連携しながら、どうやって解決していこうかとチームとして取り組むことができるんです。僕は仕事はチームスポーツだと思っているので、電通沖縄をしっかりと闘えるチームにしていきたいし、チーム力を高めるということをしていきたいですね。
もうひとつは、プロフェッショナルであること。お金をもらって仕事をする以上、プロだと思うので、自分たちがプロフェッショナルだと胸を張って言えるようにならないといけないと思っています。そのためには、やはり、自分のベストを尽くしているか、というところに返ってくると思います。

INTERVIEW.

10年後、僕らはどういう存在でいたいのかと考えると、
いま、何をすべきかが見えてくる。

奥田 敏博

- 奥田さんはマラソンが趣味だと伺いましたが、その精神は仕事にも活かされていますか。

奥田 そう思います。初マラソンのきかっけは単純で、42才になった時に42.195キロ走ってみるか、と、ホノルルマラソンに申し込んだのが最初なんです。その後、東京マラソンの担当になって運営スタッフ側として関わっていたのですが、見ているとやっぱり走る方が楽しそうだなと思って、そこからマラソン熱が加速していって、日本全国のマラソンを走りはじめました。これまで21回、フルマラソンを走っていますが、いろいろな場所に行って、走った次の日は、その土地の美味しいもの食べたり、観光したり。NAHAマラソンにも出場したことがありますよ。
マラソンが面白いのは、自分が前に進まない限り、ゴールは来ないということなんです。それも一歩一歩しか進まないんですね。野球と違って偶発性もない。どこか間違ってバットに当たって、ヒットになったとか、ホームランになったとかもない。ひたすら自分の力で一歩ずつ進むしかなくて、諦めたら終わり。精神的にも鍛えられますよね。自分との闘いだし、ゴールするんだということにチャレンジしていく。つらいけど楽しいんですよね。それに、レースがあるから、目標があるから、練習もする。それは仕事も一緒だと思います。仕事も楽しいだけでは決してない。99%は大変ですからね。だからこそやり遂げた時の喜びがあるんです。

- 奥田さんは「社長メッセージ」の最後に「サスティナブルな社会の現実を目指します」と書かれています。そこに込めた想いを教えていただけますか?

奥田 SDGsの発想もそうですが、必要なのは、目の前の経済発展だけを求めることではないと思うんです。いま、持続可能な社会を目指すことは世界中が取り組んでいかなくてはいけないことだけれど、沖縄もどうサスティナブルな社会にしていくのかを考えていくことは大事なことだと思います。この3月に電通沖縄に赴任した時、最初に社員に言ったのは、10年後どうなっていたいのか、沖縄はどうなっていたいのか、電通沖縄はどうなっていたいのか、ひとつのベンチマークとして「こうなっていたいよね」というところから物事を考えてもいいんじゃないか、ということでした。10年後、僕らはどういう存在でいたいのかということを考えると、いま、何をすべきか見えてきます。サスティナブルって、継続してどう自分たちが生きていくのかだし、それは自分たちの子どもたちも含めて考えるべきだし、いまだけの快楽を求めるのは違う。その発想が、「未来の沖縄のために。」という言葉につながっていくと思うのです。

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